料亭予定地

映画「ふたりの女王」感想

2020/01/08
映画レビュー



ちょっとレビューをのぞいたら、今度はポリコレ勢が、黒人や東洋人の配下がいるのはおかしいと大騒ぎしていた。
あまりにもポリコレVSアンチポリコレが浸透しすぎたせいで、気になって仕方がない。
これぞ分断の時代。

昔の世の中は織田信長に仕えた黒人、弥助のようにわりとワールドワイドな一面もあったと理解しているのだが…。
鑑賞しながら、そこはあまり違和感を感じなかった。

日本語題では「ふたりの女王」などにしているから、みていて若干メアリーよりだな、エリザベス少ないな~などと思ったら。
原題は「Mary Queen of Scots」で、明らかにメアリーが主人公だった!

メアリー・スチュアートの物語に関してこれまで読んできた限り、おおむね…

・美人で男の心を惑わすファムファタル
・肉欲に溺れる愚かなビッチ
・高貴で気高い、女神か妖精の女王みたいな人

という風に表現される。

特にアリソン・アトリーの「時の旅人」の女王はとても神秘的ですてきだった。

ここに今回は

・性的に恵まれず、男に押しつぶされ傷付いた悲劇の女性

というのが加わったわけだ。
斬新だったと言えなくもない。


余談だが、アリソン・アトリーの「時の旅人」のAmazon表示に出てくる「この商品を買った人はこんな商品を買っています」の欄が素晴らしかった。



ここからはネタバレ感想です!

ふたりの女王 メアリーとエリザベス (字幕版)

0歳でスコットランド女王、16歳でフランス王妃となったメアリー・スチュアートは、未亡人となった18歳にスコットランドへ帰国し王位に戻り、女王エリザベスⅠ世が統治する隣国イングランドの王位継承権を主張する。





あなたに二つの話があるの。いい話と悪い話があるわ。どっちから聞きたい?
あとあじが良い方がいいから、悪いほうを先にしよう!


悪い話、というか不満な点

この題材がとても好きな人たちからは、こうが良かったのに、ああが良かったのにと、色々注文がつくだろう。
わたしも例外じゃない。

・エリザベスとメアリー、あくまで、顔は合わせないで欲しかったー!
薄い布越しの二人の会話がとても良かっただけに残念。

・ダーンリーのあまりにもコテコテのゲイはやりすぎ。
息子のジェームズ1世は確かに男色の趣味もあったようだが、そこをわざわざとってつけたように親にもってこなくて良い。
しかも「ゲイの夫=セックスレス=女性の欲求不満」というテンプレはもう飽きたからやめてほしい。
(最近歴史もので目につきすぎる。GOTとか)

・フランソワとも性生活ありませんでした。ダーンリーはゲイでした。ボスウェルは暴力でした。
そんなに「メアリーも性的には報われない人でした」にしたいのだろうか?
ふたりの女王のバランスに配慮したのかもしれないが、エリザベスもそんな気を使ってほしくないと思う。
ダーンリーに関してはすごく素敵に見えた人が見かけ倒しだった、というだけで良かったのに!
リッチオとダーンリーをつなげることで、どちらとの恋愛も否定できて一石二鳥…?
あえて言おう、これこそ「小賢しい」であると!

・ボスウェル伯をただの婦女暴行犯にしないで欲しかった。
メアリーの好みやタイプは貴族的で洒落た男性だったからボスウェルとデキたりするはずがない!と言われることがある。しかしまったくタイプの違う人を好きになってしまうことなんてものすごくよくあると反論したい。特にタイプだった男性に幻滅した後なんて特にありえる話だ。
そりゃボスウェル単独犯人説も否定はしないが、ボスウェルだって、まったく望みがない状態で女王こんなことやろうと思いつくだろうか?
メアリーをそこまで「男性とまともにセックスしたことがない女性」にしたい理由がよくわからない。
「男好きビッチ路線」に対して反論したかったのだろうか。
腹違いの兄なのに王位が取れないマリ伯一人を明確な敵として、彼の暗躍を描けばそれで良かったのに。あとはふつうでよかった。



よかったところ。
あれこれ文句をつけても、全体的にすごくよかった。
だからこそ惜しい!

・見た目は完璧!
メアリーの自然な美しさ、尖ってるけど魅力あるエリザベス、天然痘になったところ…、

・特にエリザベスの描かれ方が良かった。

だいたいにおいて、どちらを主人公にするかによって、どうしてもお互いに悪役になってしまう。

エリザベスが主人公だと、メアリーは言うほど美人でもない、男好きで野心家の感情的な女性とされる。
メアリーが主人公だと、エリザベスは意地悪で腹黒、姑息な政治家でメアリーの美貌を妬む人になる。

本人(メアリー、またはエリザベス)の描かれ方がよくても、メアリーならばエリザベス、エリザベスならばメアリーがあまりにもひどいと、一気に嘘っぽさが増して結局つくりものか、とがっかりする。
何だ結局ひいき目かよ、みたいな…。

メアリーを主人公にしながら、エリザベスを平等にもってきたのはとても良かった!
愛憎入り混じる複雑な心を抱きながら、意識しあう二人、最大の敵でありながらお互いに最大の理解者だったという所も良かった。

最後の最後に、エリザベスの前で正当性とプライドを振りかざすメアリーは自滅していく。
主人公でありながらここをきちんと描いたのは賞賛に値する。

(この映画では、だが)フランソワ1世とは夫婦生活なく、ゲイのダーンリーとはまともにエッチすることのない仮面夫婦、ボスウェルには暴行された挙句に兄に王位を剥奪される。
スコットランドでマリ伯をはじめとする男たちにこれでもかというほど傷付けられた彼女の、土壇場に到って捨てられないプライド、頭を上げて立つ理由、最後のよりどころである正当性をほかならぬエリザベスにぶつけてしまう。
ここまで見て来た観客側としては甘えなんてとても言うことはできない。
しかし救いの手を差し伸べるべきか迷っていたエリザベスにとってこれは見過ごせない。
エリザベス自身が女の喜びを捨て、男と同化してまで守ってきた地位や立場を脅かすことだからだ。

エリザベスのプライドは負けなかったことそのもの。
そのために手放し、捨ててきたものがたくさんあった。
彼女は生き残るため、国のために運もあったが選択をあやまらなかった。
影で妊娠の姿を作ってみるエリザベスの描写はぐっときたなあ。

そして、メアリーを処刑はしたが、ここで二人の女王の死と同時に二つの国は一つとなる。メアリーの直系の血によって。
実にドラマチックな題材を、(エリザベスとメアリーの関係に関しては)完璧に見せてくれた映画だった。






最後にケイト・ブランシェットのエリザベスの映画リンク2つ置いておきます。
・ケイト・ブランシェットめちゃくちゃ素敵。
・エリザベス女王の映画としては「ゴールデンエイジ」より「エリザベス」が良かった。
・メアリーの描かれ方に関してはだめだめな感じだった。


エリザベス (字幕版)



エリザベス:ゴールデン・エイジ (字幕版)




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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
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