料亭予定地

真珠の耳飾りの少女(映画)

2019/12/05
映画レビュー



家事をしながら見る映画を選ぶ。
あまり集中しなくていい奴が良い。

真珠の耳飾りの少女(字幕版)

まだ見ていなかったのがプライム作品になっていたので選ぶ。
選択を誤った!

終始集中しっぱなし。
最後はもう手を止めて見入ってしまった。

真珠の耳飾りの少女 (字幕版)

17世紀のオランダ。画家のフェルメールの屋敷で使用人として働き始めたグリートは、ある日、アトリエの窓拭きをしたことで光を変化させ、フェルメールの創作意欲を刺激する。パトロンのファン・ライフェンが新たな集団肖像画を注文した。ファン・ライフェンに挑発されたフェルメールは、グリートの肖像画を描くことに。(c)Archer Street (Girl) Limited 2003



監督はピーター・ウェーバー、すごい!の一言。
公開当時、すごく評判になっていたのにどうして見に行かなかったんだろう。
そうだあの頃は、画家はフェルメールだけじゃないし!という気分になっていた。
若さゆえのなんとやら。

絵画好きには必見の一作。

主演は若い少女のスカーレット・ヨハンソン、上手!
コリン・ファースのフェルメールがとてもかっこいい。

画家の話というより、美しい映像の中を動く絵画の人々だこれは。



※ここからはネタバレです!



天才画家だが苦労してるフェルメールの家に下働きに出ることになった若く美しい少女。
作中ではフェルメールの妻が「この子は字さえ読めない」という言及があるので、おそらく学校にも行ってない環境なのだろう。

最初は素朴、しかし芸術作品に身近に触れることによって、彼女の中の何かが目覚めた。
掃除をしながらしげしげと絵を眺め(なんて贅沢な環境!)、顔料の種類や使い方など、フェルメールの創作活動の一端に触れ、花開くようにどんどん美しくなっていく。

フェルメールの方も彼女に興味を持ち、強くひきつけられていく。
しかしそれは、若く美しいからというよりは絵に対する感性、才能を通して繋がっている。

肉体的にもひきつけられてるけど、精神的な愛情の方が尊いため手を出すのをやめている、という感じ。

モデルをするし夫は愛してるけど、芸術に対して基本的に理解がなく子供をぽんぽん産む妻。
芸術に理解はあるけど売り込みのための道具としか見ていない義母(生きていくためには仕方ない)

フェルメールは一人ぼっちでカンバスに向かっている。
そこに現れた、心に深くすべてを理解してくれる少女。

少女も敏感に現状を理解するのだが、とても気をつけて動いている。
冒頭でおくさまの出産の叫び声を聞いたことが、妊娠・出産に対して警戒心を呼び起こした様子。
この子は賢い。

しかし、一方ではフェルメールの孤独に干渉しはじめていること、芸術にわずかなりとも手を貸していることに対して喜びと誇りを持つようにもなっている様子がある。
このあたりの語らせず抑えた演技と表現がよい!

フェルメールも自制しているし、少女は肉体的な誘惑を避けて動く。
(好色オヤジのパトロンに迫られたら全力で抵抗するが、後半ではフェルメールに誘われたら危なかったかもしれない)

一線を越えない代わりに、少女は芸術の持つ渦に捕われすぎないよう、肉屋の青年と(一般的・常識的な)恋愛を進めることでバランスを保つ。

おくさまは途中で気が付いて嫉妬に狂う。
おくさまよりも先に気が付いてるフェルメールの娘。
浮気してるかどうかより、この少女が自分よりずっと夫に近い場所にいることに気付いてしまった。

このおくさま7人ぐらい産んでる、作中でも一人妊娠、夫の欲求は完璧に満たしてるわけだ。

昔の価値観の話なのだが…、これ以上の妊娠は経済的余裕もなく肉体的にも負担であるのに「夫の心をつなぎとめるために拒否しない」という選択があると聞いたことがある。
女性にとって、「浮気される>経済的負担+子供」という事もあるんだなーと、昨今のネットでの浮気に対する過剰なまでのアレルギー反応を見ていると思うことがある。

この最後に見せた嫉妬に歪んだおくさまの最後の顔色の陰影が凄い。
ここまでやるかというほど醜い。

ここでは少女はすでに肉屋の青年と一線を越えた後。
このときおくさまを見る目がもう、完全に上から目線の女になっているのがリアル。
すべてにおいて勝ってるマウントを感じる。

おくさまに出来るのは「この女を追い出してー!!!」

肉体的にはプラトニックなままなのに、フェルメール家を去ることになる。
さすがの色ボケ好色オヤジもこの絵の前ではうなる。
芸術を愛でる心はあるのだ。

見てるときは、スカーレットヨハンソン、似てる似てる!と思ってたのだが…。
ラストシーン、実際にフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」がアップになり、微に入り細に入り映し出された時…。
本物の「真珠の耳飾の少女」の絵を見ると…
「んーやっぱちがう」
と思ってしまった。

これはやはり、名画の持つ「絵の力」だろう。

やはり画家の懇親の力を込めた芸術というものは、こういう想像や空想でつくられた物語を超えたところに存在するのだなと思わせられた。
最後の最後に、芸術作品のすごさを見せ付けられた。

しかしこの映画、映像全体があまりにも素晴らしいのでそんなのは重箱の隅と言うべきだろう。



とても良かったので、お話をぽちってしまった。
Kindle…本当に便利…!

Girl With a Pearl Earring (English Edition) Kindle版 Tracy Chevalier (著)


真珠の耳飾りの少女 (白水Uブックス) 単行本



>>Twitter(@mwagtail30)多分一番稼働してる
>>note
https://note.com/amamiyou
>>なろうのマイページ
https://mypage.syosetu.com/932660/
>>細々やってるHP
http://cappella.mitsu-hide.com/

にほんブログ村 その他日記ブログへ

にほんブログ村 その他日記ブログ 雑感へ


スポンサーサイト



Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
へっぽこ自家発電物書き。アニメ漫画書籍全般雑食です。クセ強め。
富野信者。イクニ。古典。児童書。
自分のことは盛大に棚に上げてレビューを書いたりします。

HP(料亭跡地)note(書籍レビュー中心)
Twitter @mwagtail30
映画レビュー