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昭和29年の「風雲児信長」という映画-2

2021/12/15
映画レビュー




昭和29年の「風雲児信長」という映画-2


織田信長の若き日の物語。信長のあまりに奇抜な行動で周囲の評判は最悪。傅役の平手政秀は苦悩の連続。美濃からの濃姫嫁入りや、父・信秀の死に際してもその振る舞いは変わらず。信長を戒めるため平手は自害してしまう。1940年公開の『織田信長』を戦後に改訂版として再公開した作品。


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*ここからネタバレを含みます。




やっと濃姫が喋ったよ!
いつのまにか随分仲良しっぽい。

濃姫「あの」 信長「あの」 濃姫「でも」 信長「でも」 濃姫「私」 信長「私」

一言ずつ真似してみせる。
何を見せられてんだろこれ。

もちろんきらいじゃないけど(・∀・)。

濃姫はしとやかぶりっ子だけど、この時代の女性がこうだったっていうのはおかしい。
だって信長のお母さんの迫力すさまじかったから。

別に声を大きくして怒鳴るわけじゃないんだけど、威厳があってものすごく厳しそう。
戦国時代の武将だってこんなの出てこられたら敬服しちゃうよな。

どことなく冷酷な感じで、自分の息子でも、いくら切り捨てても構わないというような……。

濃姫みたいなこんな上品ぶりっ子なお姫様、口真似してからかってるのがすごく楽しそうな信長。
そこで泣き出しちゃうぶりっこ。

しなくてもいい解説をすると、
「今日は真面目に聞いてください、でなければ今度会うときは首になっているんだわ。よよよ……」
という感じ。

そこに入ってくる部下に、「なんだ気の利かんやつ」
ということは、いちゃいちゃしてるという自覚はあったわけだ。



いちゃいちゃを邪魔されたから、行って道三を叱りつけてくるんですって。
濃姫にエコーがかかる道三の言葉「もし信長がわしを凌ぐほどの男ならば喜んで首をくれてやる」

どこで撮ってるのかわからないけど、正徳寺がすごい広さでものすごい人がいっぱいいる。
野次馬が一斉に道の端に寄って、これは参勤交代か?

おじいちゃんたちの世代で、参勤交代の風景を覚えている人がまだいたかもしれないな。

道三のお付きの人たち、鉄砲100丁ってちゃんと数えてる。
お父さんに鉄砲100丁って伝えてそれをお付きの人にまた鉄砲100丁って道三が教えてる。
なるほど昔の人は伝言ゲームだっただろうなあ。



馬の上の信長は諸肌脱ぎだ。
短筒を抜いて向けた。
この頃の時代ものは、二丁拳銃の光秀とか、鉄砲の扱いが面白い。
(二丁拳銃の光秀は、大河の「国盗り物語」です)

諸肌脱ぎのままお寺に入って行った。
お寺の境内が広い。衣冠束帯観測隊!
ここまで変わられるとちょっと。

キョドってる道三、すっかり取り澄まして大名ぽくなって(徳川時代の大名っぽい感じで)覗き見してた隠居にあまりにも見せたから知ってたよっていうのははっきり言ってるのになっちゃってるのかわいい。
特に道三が残念がって、「あの男に自分の息子達はひれ伏すことになるだろう」とかそういうことは言わない。





帰ってから信長はいきなりだらしなくなってものすごく甘えてる。
そしてまた意地悪なこと言っていちゃつこうとするのだが、その間ずっと濃姫は顔隠してる。
「何だむくれてるのか」
って、こっちを見てたら濃姫、扇で隠してた顔の下が満面の笑顔なんだけど、これがその時この映画で初めて見せた笑顔でそしてお歯黒!
すっごいアルカイック。

それを見てふっと真面目になる信長なんだけど、この真面目になったとこが心配してくれてたんだなっていうのとなんか夫婦の情愛が感じる感じの真面目さなんだけど、でもあんまりその笑顔が凄かったから、ビビってるのかと思ったわ。

お歯黒美人の笑顔ってすごい迫力ある。



急運風を告げる今川勢の攻めですか。言わずもがなだね。
敵の先鋒は三河勢だぞ、三河勢だぞ。

大事なことなので二回言いましたのこれはマジモン。大事な情報。
戦国系の昔の逸話を読んでいると、三河の人ってものすごく面倒くさい人のような感じがするんだけど、このめんどくささは戦になったら本当に厄介だっただろうなって思う。

そして三郎次郎がつかまった。

え?

何か時系列がおかしい。

濃姫と婚儀 ☞ 竹千代父とほぼ同時に信秀が死ぬ ☞ 正徳寺の会見 ☞ 三郎二郎と竹千代の交換?

どんだけずっと竹千代、織田にいるんだよ。
しかもあのかわいがられっぷり。
創作の蘭丸もびっくりだよ。





ここで桶狭間?それも変なタイミングだし、いったい何が何だかさっぱり分からないけれど、みなが慌ててる戦いの真っ最中に濃姫の横に寝転がってる信長さん。
別に膝枕はしてない。

「どこかお苦しいのでございますか」
「ああ、苦しいよ」
「ええっ」
本気で心配する純情ぶりっこ。と思ったら心だったぁ~~。
「竹千代との別れが苦しい」

はああああああ!?
びっくりしたけどこれって殺すノリだわ。

「心の苦しみをお前だけには打ち明けた」
はああああああ。



寺では竹千代が坊主に「覚悟はいいか?」って聞かれてる。
ちょっともっさりした子供なんだよね。あどけない。
よくあるような頭がキレて切り返しが上手い子どもではない。

三河の安祥あんじょうの城を囲んだのは、竹千代を取り替えてもらいたいつもりらしいけど
「気の短い信長様のことだからあなたは血祭りにあげられるでしょう」
普通~~に言う。
まあ、隠してもどうしようもないけど。

あんなに可愛がってもらってるので、にわかには信じがたいという感じの竹千代さん。

覚悟はいいかって聞かれて、はいって答えてたのに、血祭りにと言われて
「本当にそれって吉法師さまが言ったのか」
と聞き返してるあたり、相思相愛のお稚児さん。

この時、これを伝えてる坊主がゆっくり顔を上げる。
すごい形相なんだ、戦国のぼうずって感じ!

お供のお小姓たちも
「殿、せんごくのならい、ぜひもございません」
とか涙ながらに言っちゃって……。


今の会社も政治もそうかもしれないけど、こんな風に、周囲の圧、空気で流れが決まっていって、死にたくもないのに切腹させられたっていう殿や奥方たちがたくさんいただろうな。とおもいました(ぼうよみ)
リアルです。



まあもちろん、血祭りに上げるようなことはあるはずもないので(時系列もおかしいし)、この話は竹千代と信長が別れるところで唐突に終わる。
もうわかってる人が脚本書いてるよねっていうのはこっちも分かってるんだけど、まるで本能寺の前みたいに、この国未来はお前に託したぞ!的なことを、熱く語るので終わった。

確かに古いし時系列は変だし、桶狭間すらないし、演技もこなれてないのだが、昔の風俗や、強烈怖い戦国武将の妻、お歯黒のアルカイックスマイル、お寺の荘厳さ、坊主の恐ろしさなどなど、非常に見所がある映画でした。

面白かった!



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世は戦国の初頭。松波庄九郎は妙覚寺で「知恵第一の法蓮房」と呼ばれたが、発心して還俗した。京の油商奈良屋の莫大な身代を乗っ取り、精力的かつ緻密な踏査によって、美濃ノ国を〈国盗り〉の拠点と定めた!


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Ama Mew(天海悠)
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