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【映画】サムソンとデリラ-5 俺たちを認めない世界をぶち壊せ

2021/11/19
映画レビュー




【映画】サムソンとデリラ-5


 
神から授かった怪力の持ち主であるサムソンは、ペリシテ人の娘セマダールに求婚する。しかし、サムソンに想いを寄せていたセマダールの姉デリラが二人の仲を邪魔し、結婚式で混乱を引き起こし、セマダールは命を落してしまう。さらにデリラは、サムソンへの陵辱を続け...


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*ここからネタバレを含みます。





目をえぐり出されたというところが、映画であんまり残虐にはしすぎないようにしようと配慮している。

デリラは最初から「捕まえても、サムソンには、刃を当てず、血も流さないで」と頼んでいた。
傷つけるつもりはなかったという演出。
そこで、例の姉の婚約者(生きてた)、こっちも復讐に燃えてたのだが、こいつがサムソンの視力を失わせる手段ってのがなんかすごいなと思った。
真っ赤に焼けたやいばを、目の近くにかざして、触らないまま眼球を焼くという。

デリラは長いことこれは知らない。会うのも本当はイヤなんだけど、妙に沈んでる。
王さまに連れられてサムソンのところに行くことになったので、自分より一族(=デリラにとってはミリアム)を選んだサムソンをあざけってやろうと、傲然とサムソンの前に立つ、その一瞬が非常に美しい。
お前の惨めな前に私の姿を見せてやろうみたいなその演技がなかなか良かった。

だが視力を失っていることに気付いて、あまりにも惨めな姿に動揺を隠しきれない。
(さらに自分のことが見られないじゃない、とか言いやがって)

象徴的に考えれば、サムソンが視力を失ったのは、「罪は目から入る」というアレなんだろうな。
目で見た美しさに執着して、そのためにあれこれと仕出かした罰をサムソンは受けた。



最後に二人は手を取り合って自殺の道を歩む。

デリラはサムソンを助けて逃がそうとする。そのとき二人は、髪の毛が伸びてきて鎖が切れることにも気が付いた。
ここで2人は、愛を再確認しててとても幸せそう。
究極まで男をいじめつくし、苦しんでいる中に彼の自分の思う言葉を聞いて、これ以上なく嬉しいと思う女の気持ち。わからなくはないです。

サムソンは逃げるのを拒否する。
デリラは力が戻ったことは言わない。お祭りの日には出ないで逃げろと言うサムソンの言葉にも従わない。



サムソンが、神殿を支える柱をぶち壊してやろうと画策しているお祭りの日に、ミリアムが現れて王様に解放を嘆願する。
もう何の力もない、哀れな人なのでお慈悲をと言って。

王様は捕まえたのはデリラだからデリラが決めろと丸投げ。
王様はデリラがサムソンの方を愛していることに気付いてて嫉妬している。
でもその嫉妬の仕方は、なんか大人でねちねちしてて陰険な感じ。

ここで解放したら、サムソンの命は助けられるかもしれないけど、この女(ミリアム)のとこに行くなら、それだけは嫌だと拒否するデリラ。
その気持ちはすごくよく分かるな。
死んだ方がマシ。

なんか曲がった生活したことございませんっていう、人から後ろ指さされるようなそういうことはしようとしてもできませんみたいな人には、生きていくために何でもせざるを得なかった人の気持ちなんかわからないんだよ。

それでいて白々しく同情したり、同情してくれって言ってきたり、甘えてんじゃねえよお前に何がわかる!?みたいな反発が生まれる。
人に頼むな、自分で何とかしろ!体を使って頭を使ってここまできたんだ、こっちは腕一本で!って思う。

そしてなんかそういう、策も弄するし、間違いだってたくさんしてきた。
王宮の娼婦って呼ばれてもそれは本当のことだからしょうがない。

そんな自分を最終的に一途に愛してくれたサムソン、そこには損得のない純粋な愛が生まれてる。
そのためならデリラは、死んでもいいぐらいに幸せなのだ。

生きていくために汚れたことをしてきた自分が、「生きていく」という、大事にしてきたたった一つの命をいま、手放してもいいと思うぐらい嬉しいと思う。

このあと、デリラがうそでムチをサムソンに振るうとか言う、誰得な茶番劇が入るけどとても綺麗だし、それはそれでシチュエーション萌えは充分にあるのでオーケーです。

サムソンは神殿をぶち壊し、みんな死にました。
以上。





ここからは、自分が考えるサムソンとデリラの話。

膨大な聖書の中でも、士師記の中のたった3章。(士師記13-16)それも13章は実質、キリストの誕生と同様、「こういう風にして神のお告げがあって云々、サムソンが誰から生まれました」という話だから、実質たったの3章にすぎない。

自分の好みとしてはやっぱりデリラには悪女のままでいて欲しかった。

すごく男性には人気があってとっても強いスポーツマンタイプの肉体美のかっこいい男性、しかしどうも女にはモテない、ちょっと違うなっていう感じの男って、いるじゃないですか。(同意を求めるな)

そういう男が、見た目きれいな色っぽい系の女性にメロメロになっちゃう。

女の方もそういうところで自分を評価してほしくない。
自分の持ってる性的なところだけに過剰反応して何でも言うこと聞くとか言われると相手のことを馬鹿にする気持ちになる。

性的な欲望に振り回されてしまう人が、強かったり、権力者だったりするとなおさらだ。



自分が彼の弱点になってるからって、他人が彼女を利用してくるんだったら、それしか武器がないんだったら、一儲けしたっていいよねと思う。

美しさのためだとか言われても、好きでこんな顔に生まれてるのではない。
嫌だから断りたくても、力関係や収入も関わってくる。
女は立場が弱い、男並みに働くような才覚もない。
だからって男たちの方だってそれを盾にして何でもしていいわけじゃないんだよ。

デリラは全然最初からサムソンなんて何とも思ってない。
好きとか嫌いとかいう次元を越えて、どうでもいい。

お金が入って、厄介払いできるならやる。
そのぐらいないと、3回も4回も騙したり出来ないのではないか。

3回も騙したら、もうこれはデリラだって意地になる。
明らかにだましてるのは自分なのに、どうして傍から離れようとしないのか。
居心地悪くて仕方ない。

1回や2回じゃない。
3回だ。

三度目の正直で、まだホントのことも言わなければ、そばから離れようともしない。
愛とは何だ。
そうまでサムソンが終着するのは何だ。

そういう話のサムソンとデリラが私は好きだから。
それに多分ある一定の女の人もそれ理解できると思う

男性陣も性的なものを抑えられない気持ちってそれは多分よくわかる話ですっていう感じになるから。

そのモチーフとしてサムソンとデリラはあり続けているのではないか。




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サムソンとデリラ(字幕版)
 
神から授かった怪力の持ち主であるサムソンは、ペリシテ人の娘セマダールに求婚する。しかし、サムソンに想いを寄せていたセマダールの姉デリラが二人の仲を邪魔し、結婚式で混乱を引き起こし、セマダールは命を落してしまう。さらにデリラは、サムソンへの陵辱を続け...


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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
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