料亭予定地

妄想生活(この世界の片隅に)-2

2017/02/08
映画レビュー




妄想生活(この世界の片隅に)-2


 
すずは、広島市江波で生まれた絵が得意な少女。昭和19年、20キロ離れた町・呉に嫁ぎ18歳で一家の主婦となったすずは、あらゆるものが欠乏していくなかで、日々の食卓を作り出すために工夫を凝らす。



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*ここからネタバレを含みます。




もちろんお父さんはお母さんに逐一報告してる。

あの美人姉妹の評判はそりゃあいいだろう。

近所の人だって、すずさんはちょっとドジでぼんやりさんやけど、気立てが良くて働きもので明るうて何一つ不足ない娘さんやで、ぐらいは言うわ。

北條家の父母は飛び立つほど嬉しいだろうな。
そんな子を見初めてたんなら早く言えばいいのにとか、広島で遠いからあきらめてたのかもとか、夫婦でこそこそ話してそう。

もうあとは、周作に迷う暇を与えず、猪突猛進で結婚に持ち込もうとする。
特にお父さん。

姉はすずのこと聞いて、かなり微妙な気持ちになりそう。
早すぎる、気持ちが落ち着いて本当に好きな人ができるまで待ってやらないと周作がかわいそう、とか言いそう。
そんなん、適当に言うたに決まってるやんか!
と、せっかく喜んでる両親に水をさすようなことを言う。

周作は心あらずになってそう。
親戚の良かったね攻撃には、まだ本人を見てもいないし、昔そのままの姿かどうかなんてわからないし、と不満を抱きそう。

心あらずになってる周作を見て、ほら見てみ!などと姉は言いそう。
そりゃ周作だって、会ってみてまったく違ったらどうしよう、ぐらい不安にはなるわ。

両親、特にお父さんは、ここで逃したらまた気が変わるかもしれんし、こんないいチャンスはないと、さらに拍車をかけて結婚を急ぎそう。



浦野家に、まずはお父さんに手紙やら仲介人(海苔の問屋とか)から話と釣り書きが来る。

年齢もタイミングもちょうどいい。
悪くない話だが、何事も本人を見てみないとわからないから、浦野のお父さんは自分一人の胸に秘めて、お母さんにも言うのはもうちょっとやめとこう、とかしてそう。

何しろすずはぼんやりだし、(それこそ、美人はすみの方なので)何かの間違いがあってもすずを傷つけることになる、なんて腹の中で考えてるかも。
浦野のお母さんは、あまりじっと黙って腹に溜めていくようなことできそうにないタイプに見える。



広島の海苔の問屋中に、浦野家の娘を見初めた人が行方を捜してる噂が立ってると楽しい。

すず母は北條父子が会いに来るとなってはじめて顛末を知り、びっくりでご近所に言いまくる。
お父さんは実直そうな北條父子に好感を抱く。
ご縁てのは実に不思議で、上手くいく時にはとんとん拍子で進むものだ。

あっというまに「ええ話やから受けといたで」と娘に会わせもせずに決めてしまう。

「あんなのでよければ喜んで」とか何とか。
で、本人にも会わずに終わって周作はこんなものなのか、せめて一目会いたかったがそこだけが心残りだ、でもまあ、会っても会わなくても同じか、と思っていそう。

お母さんあたりは、こっそりのぞいてるすずに気付いてそう。

入ってきて、やめて、いやだ、と言わないなら進めていい↑と解釈。



周作は珍奇な女のほくろに気付いたかも。
思ったよりずっと可愛かったりとか何とかで、帰りの電車の間中、すずのことや昔の記憶を考えてるとよい。

それでいつのまにか、嫁取りやリンとの別れの記憶が苦痛でなくなっていることに気づいたりしてほしい。

この時点ではそれほどすずの気持ちとか知らない男の所に嫁に来ることについてや、家事やらされる境遇については、まるで無関心だと思う。
(昔の男性はそういう感じだろう、というか今の男性も無関心が大半か?)
むしろリンをあきらめたからには、そこはやって当たり前ぐらい思ってるんじゃないだろうか。



妄想は横においても、すずが嫁に来るまでというより、すずに会いに行くまでに、周作も気持ちの整理はしてそうだ。
でないとあの帰り道のニコニコ顔(*^-^*)、初夜の落ち着きっぷり(・∀・)の説明がつかない。

苦し紛れの言い訳にすぎなかったのなら、あまりにも早くリンとの間に入ってきたすずを受け入れられないはずだ。

結婚式の周作の緊張は、事情を知る親戚の中での抵抗と、過去にも子供時代にも決別する最後の覚悟ではないか。

周作はすずとは別の意味で、家を継ぎ大人になる重みを感じている。
すずだけでなく周作も大人にならなければならないのだ。





(妄想パート)

二人きりになった時には、もう女も知ってるし式も無事終えて一山乗り越え、夫として余裕を見せたい男心。
柿のやりとりは良かったが、その周作の自然で押しつけがましくない優しさのアイデアがちょっと女慣れしすぎてて怖くもある。

監督があれは初夜の問答を知った上での、周作の新妻への思いやりだと言ってるインタビューを見た。
しかも柿の木問答の柿にひっかけてる所が作者の心にくい暗示。

普通はせいぜい、緊張しないでとか言っていっそう緊張させるとかそんなのが関の山だろう。

これを天然でやってるならむしろ周作の女殺しポテンシャルがこわい。
周作の愛し方には、どこか女(姉・リン含む)をとろけさせてしまうような所がある。

化け物にキャラメルやったり、姉のために背比べの柱を見える所に立てたりという生来の何気ない優しさと穏やかさ。
加えて、態度、物腰、調子に乗りすぎない機嫌のよさ、適度な無神経さ(救われる)、時に見せる男っぽさ。
デートに誘うタイミングもばっちり、小さな気づかいの積み重ねなどなど。
(私の好みにドンピシャなだけかもしれないが)



すずにどこかで会いましたか?と聞かれた時、周作の中で記憶が鮮やかによみがえるといい。
そして彼女の前では肩肘張らず自然でいられてリラックスできていると知る。

時間の経過を感じない。
恋の苦しみや世間や現実の残酷さを何も知らなかった頃の子供だった自分に一瞬戻れた気がする。
あの時の面影を残したまま、おっとりとした純情さを失わず可愛い娘に成長していたすずを現実に手に入れた嬉しさをしみじみ感じながら指で触れる。

(略)

そして、周作の想像を超える、とにかくすずの嫁っぷりは半端じゃなかった。
あれは誰にでもできることじゃない。

ケイ子なんて「荒っぽい!口数が多い!生意気!」とか婚家に散々言われてそう。
飯も満足に炊けんのかねこの嫁は!
とか言われて、あたしは店も手伝っとんじゃ!と言い返して大喧嘩してそう。

そのたびに、戻ってきては実家に愚痴を吐きまくって帰って行く。(たぶん)

すずが易々とこなし、楽しんで工夫する家事。
親にも地域の人々にも、ほかの誰がこれほどすんなりと受け入れられただろうか。

ご近所さんに聞いた何気ないメモすらリンは出来ない。
姉は鍋は焦がすし気性が激しい。

普通とは何か。
すずの価値を感じるほど、今が幸せなほど、昔の恋の現実が見えてくる。
「見るに堪えん」のは、若かった自分の無知だ。


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こうの史代(著)
主人公・すずは広島市から呉へ嫁ぎ、新しい家族、新しい街、新しい世界に戸惑う。だが、昭和18年から描かれる一日一日を確かに健気に生きていく。戦中の広島県の軍都「呉」を舞台にした戦中を生きる小さな家族の物語。


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Ama Mew(天海悠)
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