料亭予定地

「薔薇王の葬列」読者のための、魂をこめたシェイクスピア紹介-1

2021/10/14
読書




「薔薇王の葬列」読者のための、魂をこめたシェイクスピア紹介-1


(2018年 07月 30日の再録です)

薔薇王の葬列を読んで、ハマるあまりに原作のシェイクスピアに興味を持つ人がきっといるはずだ。

でも、だからといって
「リチャード三世」だけ読んでもだめなんだよ~!!!

最低でもヘンリー六世三部作は必須。

だけどやっぱり、この史劇の物語すべてを知るには、「リチャード二世」からじゃないとダメなんだ~!



 
シェークスピア (著), 坪内逍遥 (翻訳)
シェークスピア作の全戯曲の全幕全シーン全文が坪内逍遥の名訳で読めて、日本語訳と同じページに該当する英語原文が表示されて、セリフ対セリフの比較対象が容易。対訳本として完備されているので、学習に、研究に観劇にピッタリの一冊全集。今回、シェークスピア没後400周年を記念して、完全新版として上梓。20年間、計6万部のロングセラー。


 ≫ 菅野文「薔薇王の葬列」の感想


*ここからネタバレを含みます。




最初に、さらっと基本情報を書いておく。
この時点ではぜったい頭に入らないが、読み進んでいくうちにどっぷり薔薇の闇にハマることになる。

薔薇戦争時代の歴代王様

リチャード二世(弱い王様)
ヘンリー四世(ボリングブルック。王位簒奪者)
ヘンリー五世(ハル王子)
ヘンリー六世(美麗中年)
エドワード四世(リチャ兄)
リチャード三世(薔薇王)


細かいところははぶき、基本の薔薇戦争時代の歴代王様の情報を見たところで、シェイクスピアの薔薇戦争シリーズについて、ひとこと。

シェイクスピアの劇は、名前と内容が微妙にズレている。

例えば、「ヘンリー四世1」&「2」は、どちらも息子のハル王子、つまりヘンリー五世くんが主人公。

じゃあそもそも、「ヘンリー五世1」とか「王子ハル」とかって題名にしろよと言いたいところなのだが、これがシェイクスピアのすごいところで、一連の事件や劇を見て読み込んでいくうちに、なぜその題名なのか、が次第にわかってくる。



シェイクスピアの劇名

リチャード二世(弱い王様)
ヘンリー四世 第一部(ボリングブルック。王位簒奪者)
ヘンリー四世 第ニ部
ヘンリー五世(ハル王子)
ヘンリー六世 第一部(美麗中年)
ヘンリー六世 第二部
ヘンリー六世 第三部
リチャード三世(薔薇王)



この一連の史劇…絶対に

いちばんちょう面白くない
冒頭数行で挫折すること間違いなしの

リチャード二世から読むべきだ!

読んでいれば必ず思う、

ここ関係ある?
いらなくない?

と思うヘンリー五世(美麗中年、ヘンリーティレルのおとうさん)の所も、この明るく落ち着いた時代のエピソードあってこそ、薔薇戦争が生きる。

ーー理想的な王と、弱く簒奪される王の対比ーー

歴史は繰り返し、最後にリッチモンドがあのかわゆいベスちゃんと結婚して、ランカスターとヨーク、二つの薔薇を結びあわせる。

ぜひ読んで欲しい!





 
(ちくま文庫) W. シェイクスピア (著), 松岡 和子 (翻訳)
イングランド国王リチャードは、宿敵である従兄弟ボリングブルック(のちのヘンリー四世)を追放したあげく、その父ジョン・オヴ・ゴーントの財産を没収する。しかし、復権をねらって戻ってきたボリングブルックに王位を簒奪され、屈奪のうちに暗殺される。脆弱な国王リチャード二世の悲痛な運命を辿る。


これがすべてのはじまりだった。
リチャード二世は、簒奪の時代を越えて、リチャード三世に直接つながっている。

薔薇戦争は、リチャード二世にはじまり、リチャード三世で終わるのだ。

リチャード二世は弱い王様。
信心深く、落ち着いてもいる。
別に読んでいる限り、平和な時代だったら何の問題もなさそうな君主だ。

だが今は、周囲でギャーギャーわめきたてるアクの強い諸侯をとてもまとめきれない。
付け上がった諸侯の中でも最大の勢力を持つ筆頭がボリングブルック(リチャード二世のいとこ)。
彼は、リチャード二世を廃位して自ら王となる。

この通称ボリングブルックこそ、ヘンリー四世。
ヘンリー六世(美麗中年)のおじいちゃんであり、ヨークを退けたランカスターなのである!

この意味は大きい。

このリチャード二世、私も一連の史劇の最初っぽいから最初に手に取って読みはじめたものの、王様がワーワー言われながらどんどん不幸になっていくだけの、まるで国会答弁を見ているようで気が滅入るしつまらないし、何なんこれ?と思っていた。

だがここを乗り越えれば、次はハル王子が出てくる。
ハル王子は公式でも、とてもイケてるから、がんばって欲しい!(謎の応援)

少し優柔不断なだけで、さして悪い所があるとも思えないリチャード二世。
押しが強く政治力のあるボリングブルックに迫られて、ついに王位を渡してしまうことになる。

ここまでなら
へーそうですか。
よくある話ですね。
で終わるのだが、このときの、リチャード二世に「弱いということの他に何の咎もない」ということが、あとで非常に大きな意味を持ってこの史劇全体を覆ってくる。

ヘンリー四世となった王位簒奪者、ボリングブルックは、リチャード二世に咎がないことを知っている。
咎がない=全面的に自分が悪い
ということだ。
リチャード二世がいる限り、いつか誰かが現れて、王位を奪い返されるのではないかという不安がつきまとう。
彼を王位に押し上げた周囲の諸侯は、そんな甘い連中ではない。

彼の罪が彼を苦しめる。

廃嫡されていた弱い王、リチャード二世はヘンリー四世(ボリングブルック)が「その死を命じたと信じた部下」に殺されることになる。

ヘンリー四世が不吉な予感を口にする。

With Cuin go wander through shade of night,
カインと共に、夜の影をさまよえ


血で汚れた罪の手だ。
ボリングブルックは恐れおののくが、殺っちゃったものは仕方ない。
覚悟を決めて、罪と暗い影を背負って治世を続けることになる。

最終的に、ボリングブルックの孫のヘンリー六世(美麗中年)は、リチャード三世(薔薇王)の剣を胸に受けることとなる。

ヘンリー六世を殺すのがなぜリチャードでならなければならなかったか。
それはこの因縁がつながっているからだったのだー!

ドラマティック・フォーティースセンチュリー!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°



 ≫ 「薔薇王の葬列」読者のための、魂をこめたシェイクスピア紹介-2

 ≫ 歴史系記事

 
(プリンセス・コミックス) 菅野文(著)
エドワード王が倒れ、混乱する王宮。“未来”を考えなくてはならない事態に皆は……!? そして、執拗に狙われるリチャードの身体の秘密は、ついに暴かれてしまうのか!? 裏切りと契りの果てに覚醒したリチャードの進撃が始まろうとしていた…。


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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
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