料亭予定地

リチャード三世の舞台

2018/08/02
漫画レビュー




リチャード三世の舞台


(2018年 08月 02日の再録です)

何かバッキンガムってどこか既視感あるな~と考えていて、ピングドラムの冠葉に似ているぞと思いついた。(似てないか)

これがアマゾンプライムで全部タダ~!
(現在はわかりません。Amazonプライムはよく変動するので…)

子供たち3人で暮らす高倉家。双子の兄は冠葉と晶馬。2人は体が弱く入院がちな妹・陽鞠とつつましくも幸せに暮らしていた。陽鞠の体調も良いある日、3兄弟は水族館へ出かけることにした。(C)イクニチャウダー/ピングループ


というわけで最終回を見てみたら、感動してしまった。

運命の林檎を分け合おう。

もー全員、全員、みんな大好き!嫌いな人がいない。どれも甲乙つけがたい。
あの二人×二人はきっとどこかでまた出会える。希望を持てたエンディング。

最初からゆっくり見直そう。

少し、長いお休みをもらった。
ちょっと疲れている気がする。

そんなお休みをもらうかもらわないかの境に、ものっすごい萌えをくれてありがとう薔薇王の葬列!


 
(プリンセス・コミックス) 菅野文(著)
エドワード王が倒れ、混乱する王宮。“未来”を考えなくてはならない事態に皆は……!? そして、執拗に狙われるリチャードの身体の秘密は、ついに暴かれてしまうのか!? 裏切りと契りの果てに覚醒したリチャードの進撃が始まろうとしていた…。


 ≫ 菅野文「薔薇王の葬列」の感想


*ここからネタバレを含みます。




ひたすらバッキンガムとリチャードで検索かけていると、佐々木蔵之助、リチャード三世の舞台をやっていたんだな~

バッキンガムとの絡みが恋人のように演出されているらしく、深く深くうなずくのであった。
こっちはもろに男同士だな~

すごく昔のかすかな記憶で、そういえば最近の前衛的な演出のシェイクスピアの舞台では、
バッキンガムの献身っぷりがそういう(危険な恋愛関係)描写にされることもあるって書いてたのを読んだことがあるような、ないような…

その頃スルーしてた私のバカバカ!!

いや…でも、本当にそうかな?

私のどこか、この前衛的BL(おっさんずなんだけど)設定の記憶が残っていたような気がする。

それで、小バッキンガムが出てきたときにもはっとして
「!バッキンガムだ!」
と思い、また、
「このリチャードはヘンリーとカップルになってるみたいだけど、いずれああだし、結局バッキンガムになればいいな」
と思っていたような気がする。

だから、ヘンリー×リチャードにも、赤エド×リチャードにも、いいなと思いながらもどこかで心の距離を置いていた。
そんな気がしてきた。

つまりわたしは、薔薇王の葬列が始まった時点から、
無意識レベルで真正ガムリチャだったのだ!



いやぁ、原作読んだらバッキンガムはそうなるよねー
ウンウン(゜-゜)(。_。)(゜-゜)(。_。)

リチャードを王に押し込むやり方が無理すぎるから、余計にバッキンガムの努力がごほうびだけでは説明のつかないレベルに思えちゃうんだよね
すごいヨイショに継ぐヨイショしてくれて、リチャードに肩入れして読んでるこっちも、誉められすぎて照れると同時に、いい気分になったもんな

薔薇王じゃなくて、シェイクスピアのリチャードのことを、「リチャード三世」だけ読んで、あーこんなものか、と思ってほしくない。

「ヘンリー6世」では、パパの死に歯噛みをしたり、弟のことを悼んだりする。
兄二人をたしなめたり、励ましあったり。

それはすべてが演技なわけでも、すべてが本音でもない。
人は複雑で多面的で、シェイクスピアはそこの描きかたが実にうまい。

リチャードは決して、「自分のことしか考えない冷酷非道で自己中な人間」ではない。
有能だけど孤独で愛に恵まれない「ただの人間」だ。

あたたかい血もあれば感情もある。

愛への憧れも持っている。あきらめてはいるけど。
そうでなければあんなアンへの台詞は吐けない。
(この部分は、非常に有名な口説きのシーン)

自分には訪れないとあきらめ、夢想だけしていた女性に愛を乞うありったけを力いっぱい込めてみたら、なびかれただけだ。

アンだって、リチャードの言葉に一片の真実がなかったら、心動かされなかったはず。
ただ、残念というか必然というか、リチャードの求めるもの、満たされる対象がアン単体ではなかっただけだった。

権力への思い、政治の渦は、人を根底から変えてしまう。
目的が手段と入れ替り、権力の維持はもう、目的ではなくなっている。

つかの間、ハル(ヘンリー五世)のような強く理想的な君主が現れたとしても、結局、世襲では全てが理想的な君主にはならないし、争いのもととなる現実を、シェイクスピアはあの時代にして、物語ではっきり示している。

王があれほど自分に尽くしたバッキンガムを疑いはじめたのは、王位を手に入れても幸せになれないからだ。

彼は権力の座において、決して幸せではない。

目的に向かって邁進している間はいいが、守ることをはじめた瞬間に、追われ、狙われる立場に身を置くこととなる。
追う者が追われる者へ逆転して、自分が狙い、追ってたからわかるのだろう。
幸せではない立場に着かせた彼を恨む気持ちが芽生えたとしてもおかしくはない。

バッキンガムも不安になっている。
王の猜疑心がすべてを蝕んでいく。

これまで、王位を簒奪してきたすべての王を蝕んでいたはずの不安は、ボリングブルック(ヘンリー四世)も苦しんだ呪いだ。
簒奪者につぐ簒奪者を迎えて、リチャード三世がその不安の底の底を究極的に体現する。

王は、バッキンガムも利で動いているのかと思う。
所詮、利なのかと。

でも約束した利を与えてしまえば、理由がなくなるから離れていくのではないかと疑う。
与えなければ与えないで離れてしまうこともわかる。

そうなればもう、バッキンガムは逃げるしかないし王は処刑するしかない。
処刑前に、王に一目会えれば、あれほど尽くした自分のこと、説明すればきっとわかってもらえると、バッキンガムは考えただろうに。



一人一人出てきては、リチャードを苦しめ責めまくる亡霊の、最後に出てくるのはバッキンガム。

利己的であれば良心という亡霊にうなされたりしないだろう。
すべてにおいて王にもっとも近い存在だったバッキンガムを失ったとき、リチャードのバッドエンドは確定された。

しかし、リチャード三世のすごい所は、このどん底にあって追い詰められた極限にあって
その権力の魔力も、良心の亡霊も、追いかけてくる罪も、超絶・名台詞の自問自答もすべて振り払って
最後の最後に、個人としての底力を発揮して、戦う姿勢を見せたことだ。

逃げず、背中を向けず、人生にも運命にも、真っ向から立ち向かう姿を見せた時。
あれほど欲した王国を馬と引き換えると叫ぶ時、ぞっとするほど感動するんだよね。

母に愛を与えられず、醜く生まれつき不遇でいて、かつ実力も知性も人並み以上にそなわった一人の男が必死に一つの光を求めること。
愛に変わる何か、心を満たす何か(権力)を掴もうとしたことを、誰が責められるだろうか?

すべてをあきらめ、悪いことも良いこともせず、生まれながらの権力者たちがどれほど愚鈍でも頭を下げて仕えて身を潜め
ただ流されていくのだけが、称賛される生き方なのだろうか?

一かゼロか。

大博打に身を投じる選択は、果たして不幸なのだろうか?

たとえ死んでも、後悔はないはずだ。
ただ、見ているこちらが(個人的に)ひたすら悲しい。



 
ウィリアム シェイクスピア (著), 金子 國義 (イラスト), William Shakespeare (原著), 河合 祥一郎 (翻訳)
醜悪な容姿と不自由な身体をもつリチャード。兄王の病死をきっかけに王位を奪い、すべての人間を嘲笑し返そうと屈折した野心を燃やす男の壮絶な人生を描く、シェイクスピア初期の傑作。



 ≫ 菅野文「薔薇王の葬列」の感想

 
(プリンセス・コミックス) 菅野文(著)
中世イングランド。白薔薇のヨークと赤薔薇のランカスターの両家が王位争奪を繰り返す薔薇戦争時代…。ヨーク家の三男・リチャードにはある秘密があった。それは、男女両方の性を持つということ。己を呪うリチャードは残酷な運命に導かれ、悪にも手を染めていくが……!? シェイクスピアの史劇「リチャード三世」を原案に描かれる禁断のダーク・ファンタジー!!


 ≫ 料亭予定地 このブログのご紹介と記事マップ

書籍の本だな【広告】
ヴェルレーヌ詩集人形の家第九軍団のワシ



 Twitter(≫ @mwagtail30
 ≫ HP「オニグルミの森」
 ≫ note
 ≫ 児童書おすすめブログ
 ≫ なろうのマイページ

にほんブログ村 その他日記ブログへ

にほんブログ村 その他日記ブログ 雑感へ



スポンサーサイト



Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
へっぽこ自家発電物書き。アニメ漫画書籍全般雑食です。クセ強め。
富野信者。イクニ。古典。児童書。
自分のことは盛大に棚に上げてレビューを書いたりします。

HP(料亭跡地)note(書籍レビュー中心)
Twitter @mwagtail30
漫画レビュー