料亭予定地

私のデジタル本棚 お気に入りの漫画「ギリギリムスメ」

2019/06/30
漫画レビュー



沖田×華さんは最近、色んな意味で大注目の作家さん。
・・・だと思っている。

この人の作品はどれもいい。
とてもいい。

透明なゆりかご (1) 産婦人科医院看護師見習い日記

作者: 沖田×華
出版社: 講談社
レーベル: Kiss

看護師の弓(ゆみ)は、急逝した彼氏の元嫁の娘・コトハと同居生活をすることに……。子供嫌いの彼女だが、コトハと交流することによって徐々に変化がおとずれる。消失の先にある希望とは――。最異端作家・沖田×華が描く“生のために死を見つめる物語”。



一番メインのやつ。出世作。

【インタビュー】沖田×華『透明なゆりかご』 レイプ・デキ婚・シングルマザーは当たり前!? 産婦人科の日常をセキララ告白!
http://konomanga.jp/interview/104123-2

インタビューの中、他にも紹介したい箇所は多々あるが、このあたりピックアップ。

いざ描くことになって、似たような設定のマンガをいろいろ読んでみたら、流産しそうだったり、高校生で未婚だったり、いろいろ困難はあっても、最終的にはがんばって産みました! 命ってやっぱりすばらしい!みたいに感動する感じで終わるものが多くて。そこで終わりじゃないから!って、ツッコミたいところがいっぱいあったんですね。がんばって育てる!とかいってて、産んだあと衝動的に逃げちゃう人もいっぱい見てきたので。
みんな、そういう現実を知らないのか、あるいは知ってても描いてはいけないと思ったのかはわからないけど、そういう部分を描く人が私しかいないんだったら描いたほうがいいなという思いはありました。


虐待するお母さんとかも、ちっちゃい子どもをボコボコにするなんてありえないって思うんですけど、でも、その人はその人ですごく苦しんでることがあって、それを肯定するとかじゃなく、「なにかしら理由がある」ってことを描きたかったのはありますね。



作者が自身の障害をカミングアウトされているが、いつも思うのはそういう人の方が表現者としての力は抜群にあったりする。
と思っていたら、今はもう消えてしまったがYahoo!ニュースのコメントに、同じようなことを書いている方がいてぐっ!と思った。

得意な所、よい所がこんな風に表現力によって理解を得たり評価に繋がっていくのを見るのが嬉しい。





この人の作品、読んだものはどれもよかったが、特によかったのはこれ。
大好き。

ギリギリムスメ

作者: 沖田×華
出版社: 講談社
レーベル: Kiss

看護師の弓(ゆみ)は、急逝した彼氏の元嫁の娘・コトハと同居生活をすることに……。子供嫌いの彼女だが、コトハと交流することによって徐々に変化がおとずれる。消失の先にある希望とは――。最異端作家・沖田×華が描く“生のために死を見つめる物語”。



前述のインタビューには、この作品に苦しんでいる間に「透明なゆりかご」を思い付いたと書かれていた。
それだけ「ギリギリムスメ」は力が入った作品だと思う。

親も生んだ時から完成された人間などいない。
だが少しでも親を演じようとする。

それをしきれない親も当然いる。
たくさんいる。

すべての親の心の中にも少しだけいる。

理由はさまざま、どうとでもつけられる。
母親も他にもっと別に「気を取られて」いる、または「いっぱいいっぱい」な状態だ。

義務だと定められていても家庭内は密室。何が起きていてもわからない。

義母と娘モノとしては「義母と娘のブルース」も当初から好きでチェックしていた。
四コマの面白仕立てのヒューマンコメディ。軽く読めるし面白い。
笑いながらほろりとさせる。

あまり傷口をえぐりたくないときにはこちらの方がいいかもしれない。
ドラマにするには、若干のフィクションっぽさがあっていたしフィットして良かった。

ギリギリムスメ」はめちゃくちゃリアルだ。
正確に言うとこちらは義母ではないしずっと一緒に育てるわけでもない。

突然、主人公のもとに放置されるコトハちゃんだが、実母に存在を無視される…とまではいかない。
母親も完全に丸投げで放置しようとは思っていない。
これからを生きていくために、男を捕まえようとしている真っ最中。

でもそこまで娘がものすごく大事というわけでもない。
この匙加減。





コトハちゃんは年ごろの少女にしてはかなり冷めていて、可愛げはない。
しかし母性を求める心もある。
対話を受け止めてもらえる存在を欲してもいる。

交流を続けるうちに、心に浮かび上がる主人公自身の過去──。
精神的にも肉体的によりどころのない少女の心の表現が、ありとあらゆる方面から刺さってくる。

自身も孤独な主人公とコトハちゃんとの間に、次第に触れ合いが生じる。
人と人との心の触れ合いだ。
この淡々としながらもどこか緊迫した展開の中で、非常なインパクトをもってこちらに迫る。

相性はあると思う。
実の母であっても相性が合わないことはある。
特に「母と娘」という女と女の関係ならばなおさらだ。

親子関係に友達感覚の「合う・合わない」を持ち込むと悲惨なことになる。
かといってあまりにドライでもこれはこれで問題がある。

子供が「相性」を理由に持ち込んでくるのは仕方がない。
まだ未熟だから。
だが親の方もこれが強いとバトルになる。
合うなら合うでべったりになる。

親とはいえ一つの個であって、他人とはまでは言わないが「ちがう人」なのだ。
正解などどこにも存在しない。

だからこのさめてこましゃくれた(死語?)ちいちゃな娘と、こじらせ女性とのふれあいは、年齢は違えど女同士の友情のような…疑似親子でもない「何か」。
責任でもない…同情でもない「何か」。

とても不思議な、奇跡のような人と人が理解しあえた一瞬、を感じさせてくれる。
それが、実の親ではなくても…。

その一瞬があることで、それからの生を生きる力になる。
少しだけ未来を向いて進もうという力に。




なろうのマイページ
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この作者の作品で、他の電子書籍の宣伝でずっと出ていて、面白そう、読みたいなと思っていたのだが、ebookで出ていなかった作品。
不浄を拭うひと(分冊版)

作者: 沖田×華;天池康夫
レーベル: 本当にあった笑える話
出版社: ぶんか社

山田正人、39歳。彼が脱サラしてはじめたのは、孤独死などの変死体があった屋内外などの原状回復をサポートする「特殊清掃」の仕事だった。彼は、さまざまな状態で死を迎えた人びとの「生活の跡」を消しながら、故人の生前のくらしに思いをはせる……。『透明なゆりかご』の沖田×華が描く、新しい物語!


やっと出たー!
ずっと待ってた。

あまりにもリアリティがあるがゆえに、本人の体験と混同されてしまいなそうな所は内田春菊にも通じる。
こちらは原作が別にあるのだが…。
生々しい所に肉薄する力がある!

出版社は商品価値をわかっているな。
この人の作品は、人を呼ぶ力があるし、人の心の機微を付き、見えない世界を見る目がある。

さらに絵に換えて眼前に展開してみせる表現力がある。
絵も嫌味がないし可愛い。

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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
へっぽこ自家発電物書き。アニメ漫画書籍全般雑食です。クセ強め。
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