料亭予定地

「竜とそばかすの姫」 レビュー2 惜しすぎるアンバランスさ

2021/09/05
映画レビュー




映画「「竜とそばかすの姫」 レビュー 2(若干辛口?)」感想

やっと少しだけ余裕が出てきたので、FC2の方もぼちぼち再開させていきたいと思います。

すっごく今更だけど、「竜とそばかすの姫」レビューのつづき。

レビュー1はこちらです。
映画「竜とそばかすの姫」 初見レビュー & 毒舌メガネちゃんの素性について


 
高知の田舎町で父と暮らす17歳の高校生・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、現実世界では心を閉ざしていた。ある日、親友に誘われたことをきっかけに“もうひとつの現実”と呼ばれるインターネット上の超巨大仮想空間〈U〉に「ベル」というアバターで参加することに。



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*ここからネタバレを含みます。




ラストで、すずがあまりにもさわやかな顔をしているから、わずかなりとも、このような子どもの虐待などの現実に触れたことがある人は、「虐待はそんな簡単な問題じゃないー!」と思うだろう。

しのぶくんとの恋も、うまくいきそうな匂わせをしているのに、あの兄弟のその後が描かれないというのも、モヤモヤの理由になる。

「竜とそばかすの姫」の「竜」なのに…。
あれほど、ロマンチックな逃走劇を繰り広げていながら、ひかれあっていたのは恋愛ではなかったの?

現実の竜を目の前にしたら、しのぶくんの前では思いはあっさり消えてしまうの!?
というような疑問を持ったとしてもおかしくはない。



妹子「 途中で、え?すず、もしかして二股かけてる?って思ったよ」
わたし「そうだねぇ……。美女と野獣がよくないんだわ。あれは恋愛だからね。見てる人も恋愛だって思うでしょ」
妹子「 途中で竜のほうに気を取られるけど、年下の14歳ってわかったから、しゅっと戻ってしのぶくんにしとくか、ていう風に見える」

そういう風に見えちゃうよなあ。

妹子「毒舌メガネちゃん好き!あの子が一番すき。でもルカちゃんにはどきどきしたわ」
わたし「どうして?」
妹子「しのぶくんと仲良くして、恋ばなの相談して、横からしのぶくんを取ろうとしている性格悪い女子なのかと思っちゃった」
わたし「ちゃおの読みすぎだな」

とか言いつつ、わたしもそこを期待しちゃったりなんかして。



感受性の強い、傷ついた、自己評価の低いタイプの女の子、すず。

レビュー1で書いた、

目の前に今溺れそうな児童がいるとすれば助けずにはいられない母性を、母を奪われたものとして子供の立場からは許すことができなかった。父は母性の代わりをすることができなくてそこに すずの求めるものはなかった。歌も奪われ、なにもないと思っていたからっぽの自分、仮想空間でディーバとしての自分を手に入れて承認欲求が満たされた時、龍の孤独に対して、歌とともに暖かく包み込む。母としての思いを自分が追体験することによって失われた子供時代を保管し、自分を見捨てた母のことを心から許すことができるようになった。
(未見)

は、いがいと的を得ていた。

虐待を受けたこどもという観点から少しだけ(わたしの)意識をさらにぼやかして、抽象的・象徴的にとらえて見てみる。

何となく、納得がいかないとき、こういう視点から見てみると(自分が)落ち着く。

竜がふるっている理不尽な暴力についてだが、竜がどれほどひどいのか?何をしたのか?という箇所は、漠然としか示されていなかった。

竜がやった悪事を掘り下げてしまいすぎると、なんだネットポリスも正当性があるんじゃないか!と思わせてしまう危険性も出てくるはずだ。
白黒兄弟の被害者としての姿を強調するには、そこをあまりがっつり表現するわけにはいかなかったのではないか。

しかしそこにはやはり、竜の(何らかのストレスを発散するかのような)、「やりすぎの理不尽な暴力」が存在するはずだ。
結局、破壊衝動というか、兄も父(?)と同じことをネットでやって、鬱憤を発散しているのではないか?
という疑問だ。



うまく口のきけない、イノセントな白い弟と、必死で守る竜である兄は、

・うまく気持ちを表現できず、説明をしたり自分の中で消化できない幼児性
・暴力衝動を制御できずに、ただ弱者に力をふるう

これは、あの父親の孤独な中年男の姿と表裏一体のような気がする。

すずのお父さんもシングルマザーだし何となく、符号を感じる。

弟が兄に勝っていたメンバーに入っていたということから、
こんなに強い自分にお前は勝てたんだぞー!
と弟に示して、勇気づけたかったという風に説明がなされていたが。





もっとも批判されている、

・児相(児童相談所)への連絡
・JKがたったひとりで東京まで虐待している中年男性のいる家へ行く

という行為だが、あえて擁護するとすれば、これは「一人で行かないといけなかった理由」のようなものはあると感じる。

ずっと歌(声)を失っていた彼女が、ついに現実世界で、体も声も取り戻すというようなそういう効果を期待してのことかと思う。
変な大人がゾロゾロ入ったら帰って警戒心を呼び起こすとでもいうような 配慮もあったのだと思うけれど、確かにこれは受け入れがたいだろう。



ただやっぱり物語というのは額面通りに受け取ってはいけないのであって、たとえばそれは、映画館の大画面の中に映し出される動画配信、YouTube の中の少年のつぶやきだ。

何度も何度も繰り返される、
「助ける助ける助ける助ける、助ける助ける助ける助ける」
というつぶやき

どれだけ言っても、全部無駄だったじゃないか!

そういう想いを持っている人のことを忘れないで欲しいと言うメッセージがこめられている。



よくある疑問は、「すずがなぜ竜にひかれたのかわからない」というものだ。

途中ですずが自身で悟ったのは、
「母があのとき、自分よりもあの子を選んだ理由」
が、彼の中にあった、ということだ。

ひとりぼっちで孤独で泣いている、孤島に取り残されて命の危険にさらされている。
見捨てられて、誰の手も届かない子供が、目の前にいた場合、手を伸ばさないわけにはいかない、という衝動だ。



だがしかーし!
そこは分かるのだが、肝心の野獣の方に当たる 14歳の彼の感情がまるで読めない。

じゃあ何故、すずを傷ついてまでかばい、助けたのかとか、なぜ近づくのを許したのか、などが弱い。
非常~~~~に弱い。
ここが残念だし、プロットの限界であると思う。

「傷ついた少年を助けるお話」「自分を解放する物語」が、美女と野獣の根幹である「恋愛」とは結びつかない。

妙におばさん達が煽り立てるから、恋であるかのような強調がなされてしまっている。

少なくとも美女と野獣であったとしてもいいから監督が監督なりに自分の中で消化した美女と野獣のであって欲しかった。
なんか男女のものではない新しい不思議な絆のようなものであるっていうことをせっかくのデジタルで表現して欲しかった。

美女と野獣というモチーフは、男女双方の気持ちがあって成り立つものなので美女と野獣は対等だ。

すずとあの少年は、対等ではない。



すずが一人で行くのも、警戒させてしまうのを避けたととることもできるし、雨の中を走るのも、劇的効果を狙ったといわれればうなずける。

やさしい映画だが、そのやさしさが少しだけ甘えに見えてしまう。
わかってくれよという甘えだ。
このことばにならないこころのうちをわかってくれという。



楽曲が飛びぬけているから、 本当に惜しい作品だと思う。

毒舌めがねちゃんがすずをプロデュースしていく過程を見たかった。


つづく  ≫ 「竜とそばかすの姫」 レビュー2 惜しすぎるアンバランスさ


 
人々は、ショッピングからゲーム、各種のコミュニケーション、そして行政手続きに至るまで、生活の多くをインターネット上の仮想世界“OZ(オズ)”で行うようになっていた。ある夏の日、友人の佐久間とともにOZの保守のアルバイトをしていた高校生・健二(けんじ)は、あこがれの先輩・夏希(なつき)から、一緒に彼女の田舎まで旅行をするという「バイト」に誘われる。長野の夏希の実家・陣内家(じんのうちけ)は、戦国時代から続く名家で、曾祖母の栄(さかえ)ばあちゃんを筆頭に個性豊かな面々がそろったエネルギッシュな大家族。バイトの内容は、この家族たちの前で夏希のフィアンセ役を演じるというものだった。(C)2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS


 
この世界には人間の世界とは別に、もうひとつ「バケモノ」たちが住む世界がある。渋谷の街と平行しているバケモノの世界【渋天街<じゅうてんがい>】だ。ある日、バケモノ・熊徹に出会った少年・蓮は強さを求め、バケモノの世界へ行くことを決意した。少年は熊徹の弟子となり、九太という新しい名前を授けられる。当初はことあるごとにぶつかり合う2人だったが、いつしか本当の親子のような絆が芽生え始める。少年が逞しい青年となったある日。偶然にも渋天街から渋谷へ戻った九太は、高校生の少女・楓と出会う。新しい世界や価値観を教えてくれる楓との出会いによって、九太は自身が本当に生きるべき世界を模索し始める。そんな時、渋谷と渋天街の2つの世界が危機に陥る。(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS



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