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リアル!映画「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」感想 3

2020/10/24
映画レビュー




リアル昴!映画「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」感想 3

3で最後になります。

この映画、それほど評判が良いわけでもなく、どちらかといえば「はぁ?」という意見が多かったと記憶している。

ばあちゃんは微妙だし、ユリアは衝動でなんでやねん?という行動を取るし、幼少期と現代とにぽんぽん話が飛ぶしで、評価が低いのもわかる。

しかし私には妙に深く心に残る映画だった…。


ボリショイ・バレエ 2人のスワン(字幕版)

ボリショイ劇場擁するバレエ・アカデミーに入学した2人の少女。貧しい炭鉱町出身で伸びやかな身体と才能を持つユリアと、お金持ちの家に生まれ美しく気高い容姿を持つカリーナ。カリーナの優雅で完璧な踊りは生徒の中でもひときわ輝き、講師陣期待のエリートとしてプリマ候補に。



リアル昴!映画「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」感想 1

リアル昴!映画「ボリショイ・バレエ 2人のスワン」感想 2

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*ここからネタバレを含みます。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



こうして、プリマになる見込みもなくなり、後ろ盾も失い、未来が見えなくなったユリア、もう死んでもいいと思ったのだろう。
また、あのビルの屋上に立つ。
失恋のときも、ロストバージンのときも、このときも…。
三度目の正直だ。

どうせある崖ならば、越えられないのがわかっているのなら、もう落ちてしまってもいい!
ヤケになっている以上に、覚悟と絶望を見た。

そして、見事に飛ぶ!
越えられないかに見えた亀裂を越えて、奇跡のジャンプ。
ビルからビルへと飛び移った。
そのジャンプは、最初に酒浸りのバレエダンサーが見出した、ユリアがコサックダンスを踊っていたときのものだった。



才能がすべてを肯定する!
これは昴に出てくる台詞だ。

越えられない壁、それは、運命が用意した不運が築いた壁でもあり、富裕層のカリーナと貧困層ユリアの境遇の生まれ育ちの亀裂でもある。
生まれ育ちの環境や、男や、プリマを競うライバルとしての不和を示す裂け目だ。

この度段場において、ユリア自身の持っている力、才能が、今までやってきた努力が、彼女を後押しする。



ユリアはとりあえずはボリショイバレエの一員として、コール・ドの一人に甘んじて群舞の中で生きる。

憧れの男性ダンサーと白鳥の湖を踊ることになるカリーナだが、何のかんのあって、「カリーナに何かあったときの代役」にユリアが選ばれる。

優等生顔を見せていたカリーナが嫉妬をぶちまける…。
代役が欲しくてあの男(男性ダンサー)とHしたんじゃないかとか何とか…。

この男はユリアも幼少期からあこがれていた伝説のダンサーなのだが、バレエの腕前はともかく、相当な女たらしらしい。

カリーナはその嫉妬を見せることで、バレエにすべてを捧げるなんて豪語していた彼女も、いつの間にか女になってた(あの男性ダンサーに食われてた?)らしきことがそれとなく知られる。

もうそのあたりは、男性経験豊富なユリアは、皮肉に言い返し、カリーナのママが札びら切って頬をはたいてきたことを暴露。

カリーナは、ショックながらも、自分のプリマの座や現在の栄光が、母親によって金で買われていたものであった事実を受け入れる。

カリーナはライバルでもあるが、ユリアを最初に受け入れた友達であり、長年の仲間であり、才能の理解者のひとりなのだ…。



譲られたことに対する屈辱もあるし、借りがある意識があるのだろう。
嫉妬をぶちまけても、カリーナがバレエに対して真摯であればあるほど、ユリアの才能を見逃せない。

唐突に「ユリアはすばらしいダンサーだ!」とみなの前で賞賛、踊るチャンスを与えるのだが、ユリアは踊ることができない。
まあ、いきなりこんな所で突然言われてもね、というのもある、実にまずいタイミングではあった。

憧れの男性ダンサーの
「コールドを長くやりすぎたな。手遅れだ」
の一言が重い。

(前後して、ジャンプが高過ぎ、技術も突出しているため、コールドの中で悪目立ちしてしまって、周囲に合わせるために踊りが萎縮してしまっているらしきシーンもあった)






泣きじゃくるユリアを慰める子が、すごく印象的。
イヤリングのことをちくったルームメイトだ。
ここで過去のことを告白して謝るが、ユリアはとっくに知っていたと言う。

この子は、小さい頃から、胸が大きすぎることをおばあちゃんに看破され、今のうちにやめることをすすめられたのに、嫌がってやめなかった。
だが大きくなって、胸が苦し過ぎて自分で辞表を出す。
それでもバレエをやめられず、今は衣装係になってバレエ団に関わっている。
悲哀に満ちたキャラだ。

挫折を経験したこの子が、ユリアを励ます。
この子も、小さい頃からユリアとカリーナをずっとそばで見てきた理解者のひとりだった。

ユリアを評価するのは、おばあちゃんだけではなかった。
カリーナも、この胸の大きな子も、本質的にはあの男性ダンサーも皆、知っている。
ユリアのバレエの才能は特別で、本物だと。





ここでカリーナ、あきらめない。
(ユリアではありません。ライバルのカリーナがあきらめない)

最後の最後に、仮病を使って本番を休む。
公演の中の一日だけなので、全部ゆずったわけではないけれども。

彼女は本気でユリアにチャンスを与えようとしている。

だがユリアは土壇場で、プレッシャーに押しつぶされそうになる。
そもそも、バレエ団の皆のまえですら踊れなかったのに、いきなり大舞台で主役を張ることが出来るのか?という。
あんな残酷な形で冷たく、手遅れだと言われたし。

衣装係の子が囁く。
「夢なんて見ないで、一度だけ代役をやって、あとは元の生活に戻るの」
(プレッシャーを軽くさせて気持ちを落ち着かせようとして言ってくれてることがわかる)

ユリアが本番に向かう舞台裏で、突然音が消えてシンと静まり返る。
周囲からの妬みや、好奇の目、失敗を願うような視線の中で、衣装係の子が優しく抱擁して送り出してくれる。

憧れのダンサー(ゲスだけど)が、プレッシャーの抑え方をユリアに教える。
彼はだけど、「誰かのために踊る」こと。

大ベテランすら、足がすくんでしまって踊れなくなる時があること、昔、少女だったユリアが憧れの目で見ていた、それが彼の支えとなったこと、などなどを今更の後出しじゃんけんで教えられる。

(本人はその子がユリアであったことは知らない)

誰かのために踊る。
では、ユリアは、誰のために踊るのか?

ここで出してくるイヤリング!持っていたのかー!
じゃあ、やっぱりあの時、おばあちゃんはユリアの嫌疑をちゃんと晴らしたんだな…。
ということが知られる。

そして、お金にしようと思えば出来たはずだが、この宝石は手放さずにずっと持っていたんだなという。
あのとき、この宝石を売ればお金も用意できたし、プリマの座は得られたかもしれない。
だがユリアはそうはしなかった。
この宝石は、おばあちゃんの大切な形見で、彼女の才能を本気で信じてくれた人のもの。

ユリアは、おばあちゃんのために踊る。(多分)

ずっと彼女を育て、親身になり、困らされても結局は何とかするようユリアのために努力してきたおばあちゃん…。

と、そこで舞台にすすみ出ていき、大ジャンプしたところで終わり。



そこなんかーーーい!!
喝采されたとか、成功だったとか、そのあたりの描写一つぐらい、入れんかーーーい!!


という意見がコメントにあり、これだけは激しく同意した。
どうなったのかわからんやんけ!!

しかし、こうして詳細に筋を追っていけば、あの亀裂を越えたジャンプに象徴されるように、この公演が大成功をおさめ、彼女に日が当たる未来がまっているラストは言わなくても分かるよね?という感じであることも…まあ、わかる。

「マダムのおかしな晩餐会」もなんだけど、余韻を持たせようという意図なのか、ちゃんと描かなさすぎなんだよ~~!!

どうとでも取れるように☆とかいらないんだよー!
白黒はっきりさせろー!!

しかしまあ、そこは大目に見るとして、とにかく最後の最後まで手に汗握る展開だった。

誰もが人間くさくて完璧ではなくて、でも要所要所でお互いに相手に親切だし誠実なところもある。
つまり、靴に画鋲を入れたりするようなことはしない。
男で失敗したりするところなど、フェリシーや昴などとかぶる部分もありながら、なんとなく人情味が溢れ、みんな割と良い人でまともだった。



見ていた私と子供たちに、記憶がよみがえってきた。

それほどおばあちゃんは母に似ていたし、だからこそ困らされながらも面倒を見てあげるユリアの運命に他人事になれなかった。

施設に入ってからは、子どもたちもかなりおばあちゃんのことを忘れかけていた。

迷惑だったとか、嫌だったとか、イメージでしか語れなくなっていた子供達が黙ってしまい、あの時ばあちゃんはこうだった、この時こうしていたと、次々にポツポツ話し出した。

振り回されつつも、何とか挽回しようとするおばあちゃんの頑張りと愛情を感じられるこの映画を一緒に見られて良かったなと思う。
嫌な思い出ばかりにして欲しくは無いので…。

ユリアも最後に報われてよかった。
多分、この映画のことは忘れないだろうな。




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作者:曽田正人 / 出版社:小学館 / レーベル:ビッグコミックスピリッツ

病床に伏す双子の弟の前で、日々の出来事を踊り続ける少女・宮本すばる。過酷な日常と大きな悲しみが、彼女の才能を育んだ。天才の名を欲しいままにする、最強のバレエダンサー。激しくもはかなく、そして美しい、命を削る魂のバレエ!その舞姫伝説が、今、始まる――!!




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