料亭予定地

毒親つながりで吉野朔実「エキセントリクス」

2019/05/17
漫画レビュー




私が定義したい毒親とは。
を考えた。

もっと根本的に人としてすごくどうしようもない、曲げられない曲がらない、人を「変える」とか、「理解する」を阻む親。

個人的に、そのような毒親を描いて至高…!
いや、違う。
毒親を描くというより、「毒親のもとにいる閉塞感と絶望を描いて至高」であったのは、吉野朔実だと思う。

なぜいつも代表作が「少年は荒野をめざす」なのだろうか。知名度の問題なのか、売り上げの問題なのか。
エキセントリクスを読んだことがないのか。
これは漫画史上、空前絶後の名作。

ほんとに名作。
もう芸術の域。

絵も美しさも、心理学的描写も、哲学性も、これの右に出る少女漫画を知らない。

ECCENTRICS エキセントリクス〔文庫版〕 1巻
https://cache2-ebookjapan.akamaized.net/contents/thumb/s/L6100003869861.jpg?1552757411000ECCENTRICS エキセントリクス〔文庫版〕 1巻

作者: 吉野朔実
出版社 小学館

家出少女の結本千尋は、記憶を失いまったく別の人格になってしまう。彼女の前に天という少年が現れ、恋仲になるが、彼には劫という双子がいて、しかも二人はひとつの人格を共有しているのだった…!



ebookの紹介文を引用しておいて文句を言うのも何だが、「記憶を失いまったく別の人格になってしまう」ちょっと違う。
「双子はひとつの人格を共有している」これもニュアンスが違う。
そして主人公の字も違う千尋ではなく千寿。せんじゅさん。

このヒロインはいわゆる多重人格の分裂であると推測されるが、恋人になる双子の天(テン)と劫(コウ)は、かなり特殊なケースであって、どんなケースにも当てはまらない。
まさにヒロインのいう通り、「天と劫は『恋愛』の象徴──私を抱きしめる右手と左手──」

天と劫は囲碁からきている。

ECCENTRICS エキセントリクス〔文庫版〕 2巻
https://cache2-ebookjapan.akamaized.net/contents/thumb/s/L6100003869961.jpg?1552757411000ECCENTRICS エキセントリクス〔文庫版〕 2巻

作者: 吉野朔実
出版社 小学館


血の轍はねっとり感でゆっくりじっくり進むが
(多分リアルさとしては正確)
エキセントリクスは二巻!!
ぎゅっとしまっていて、無駄が一つもなく、実に見事だ。

ebookもこの名作に関しては、もうちょっと立ち読みを増やしてくれればいいのに。
最初にヒロインが買った絵の「E」のデザインの美しさ。


夭折が悔やまれる。
もっともっと、作品を描いて欲しかった。


以前、2016年 05月 07日に吉野朔実の訃報を受けての記事の再録を載せようと思う。


【以下、再録、再録ゥ!】
しかし、再録するにも割と時間がかかるのであった。
TwitterのRT祭りを自動投稿する設定にしてみて、記事がTwitterのRTだらけになる恐怖におびえて記事を書いている。
書かねばやられる。
そんな気分。
(Twitter自動投稿、あまりにもウザければ消すかも…)

ネタバレをかなりしているので、広告をはさみます。

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立ち読みどうぞeBookJapan「悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される」割と面白かった


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改めまして
【再録、再録ゥ!】




吉野朔実の訃報。
ショックだった。
ジュリエットの卵はまだ読んでいないという不心得者だけど、すごくショックだった。

恋愛的瞬間ぼくだけが知っているも良かったが、
少年は荒野をめざすよりも、
一番好きなのはエキセントリクス
もう、これは私の選ぶ漫画トップ3に入る。(ほかの2つ思いつかないけど)
あの昔に買った漫画の中で、ずっと持っている数少ない漫画の一つ。
とにかく完成度がものすごく、ものすごく高い、と思う。

絵の美しさも繊細さもセンスもだけど
不幸な子を創造するときに、その不幸さに理由をつけるために
不幸な生い立ちを想像するのではなくて、
世界と同一に普通に存在する不幸が、まともさや笑顔や恋愛や性や宗教の中に、一つとなっている
そんな感じの闇を描いていて見事だったと思う。

どっちがどっちだったのか、コウかテンかで友達と論議したものだが
(最初に突き飛ばしたのはコウ、最後のはテンだと思うと私は答えた。二人を見分けるヒラサカが病院のをコウと認識してるから)
それでも、この年になって思うのは、
最後にどっちでもよかったという彼(たぶんテン)のつぶやきこそ本当だということ

忘れることで生きようとあがく心も、追いかけてくる記憶には抗えず
最初は死ぬつもりでお願いをした彼女が、誰かを救おうと伸ばした手と共にそのまま死へ向かう。
電車の下へ。
このシーンの構図、入ってくる電車、線路の上に倒れるテン、握られた二人の手の交差のアングルとかが、あまりにも美しい。
彼女は一つとなったテンとコウと死んで、最初の出会いの時の「お願い」は成就された。
その時一つのうぶ声が上がる。
生と死のはざま、彼女を縛る母の闇も浄化されて、まっさらな命、存在となった。

彼女を死へ向かわせる気付きをもたらしたヒラサカ先生(ヨモツヒラサカ?)
そのまともな理性と考察、健全な思考回路を持った友人タクミに、まっさらな命は託される
...と、私は解釈している。

エキセントリクスは、作品そのものをそのままに、一つの完成された物語として感じさせる作品だ。
だから、本当は考察など意味はない。今まであえて私も手を出してこなかった。
↑は、考察ではなくて、読んで、感じたこと。
メッセージなどはない。
ただ存在するひとりの人間の存在と同じ、ひとつの物語そのもの
名作だ。

作品を思い返し、こうして文字にすることが追悼だと思って記事を書いた。




再録ここまで。
読んでくださってありがとう。

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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
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