料亭予定地

イノサン堂々完結!さびしい…。

2020/02/22
漫画レビュー




イノサンが完結した。
見事な終わりかただった!
本当に楽しませてもらった。



イノサン
作者:坂本眞一 / 出版社:集英社 / レーベル:週刊ヤングジャンプ

18世紀、「自由と平等」を望み、現代社会の出発点となったフランス革命。その闇に生きたもう一人の主人公シャルル-アンリ・サンソン。彼は、パリで死刑執行人を務めるサンソン家四代目の当主。その過酷な運命に気高く立ち向かった“純真”を描く、歴史大河の開幕──!!



イノサン Rougeルージュ 1巻
作者:坂本眞一 / 出版社:集英社 / レーベル:グランドジャンプ

フランス革命…人類が「自由と平等」を手に入れた世界史的事件の前夜──。サンソン家長兄シャルル‐アンリは死刑執行人一族の家長としてパリに君臨、妹マリー‐ジョセフはベルサイユで処刑職を得て自由に生きていた。だがある日、マリー‐ジョセフは初恋の男アランを傲慢な貴族によって殺害され…!? 血塗られた苛酷な道を無垢に生き抜いたサンソン兄妹の物語[イノサン]は、「未来を変える」紅き革命編「イノサンRouge」へと新たな幕を開ける──!!!




イノサンが第一部
イノサンRouge(ルージュ)が第二部

ちょうど「薔薇王の葬列」と同じぐらいの時期からずっと読み続けてきた。

こちらは雑誌は買わず、ずっとEbookの電子版のみを追いかけていた。

完結してしまって寂しい。
でも、終わり方が完璧だったので感慨深い。



なんとなくベルサイユのばらを意識したストーリー仕立てとキャラ造形でありながらも、最高位の王と王妃に最底辺に位置する処刑人の兄と妹を主人公として対比させる。

緻密な絵の中でむき出しの人間が描かれるあらゆる死刑拷問シーンが展開される。
耽美でありながらもエログロの極値を極めた作品だ!

明らかに宝塚を意識した感じで突然ミュージカルになったり、スマホや高校生生活など学級学校生活に置き換えてみたり、とても冒険的で最後まで楽しませてくれた。

拷問・処刑など好きじゃないジャンルなのに、ここまで読み進められたのは絵の美しさもあるけれど…。
とにかく特筆すべきは妹のマリー・ジョセフ=サンソンで、もう本当に彼女が主人公であると言っても過言ではない。

イノサン第一部も、途中から彼女が全て持って行った。



ネタバレのため広告をはさみます





最終巻「イノサンRouge(ルージュ)12巻」の感想

イノサン Rougeルージュ 12巻



アントワネットがマリーの手によって処刑されるところまでは予定範囲内だとして、その後どういう風に話を〆るのかと思っていたら、マリーがまたとんでもなくひどいことになっているので最後までハラハラした。
ひどいのはもとからなのだが、最後の最後でこれはさすがに目を覆いたくなった。
これではマリーも助かるまい…。

と思ったら、何よりもびっくりしたのはマリーの夫ジャン・ルイ!!
見覚えのない超耽美な美男が「マリーしゃん!!」と言い出したとき、その呼び方には覚えがあるが…だれ?と思った。

まさかここで!!
痩せたの!?

ジャンルイ!
あの超絶・巨漢デブなの?これが!?
自分の書いたちびブタくんもびっくりだよ。

マリーを心配して探してるうちに痩せたの!?
マリーが子種を寄越せとか言って乗っかった時は本当にびっくりしたけど…。
(変なところで律儀なんだよなマリー)

愛だな、愛!!!

作者本当にマリーがお気に入りだな!

アンドレは死ななかった。
きっちりと最後までお供を勤め上げた。

ベルばらにオマージュしているのなら、この従者のアンドレがマリーとどうにかなるのじゃないのかな~と思っていたのだが…
そうはならなかった代わりに夫のデブくんがショックで痩せて超絶美系になっているというオチ

もうこれは最後の最後に、最高の粋なはからいだった。
👍️👍️👍️👍️👍️👍️

これは、助かったんだよね?
マリーはイギリスで生きてるんだよね!?
それとも、やはり傷は重く、回復しないまま亡くなったのかな…。

マリーの死はぼんやりと、流星をバックに美しいままで観念的にしか描かれなかったが十分だと思う。
最後に兄弟の思いが時を越えて実ったというオチもとても良かった。

あの超絶美麗な子供のゼロが女子なのか男子なのかは最後まで語られなかったな。
最後のゼロのカットも、どちらともとれる感じだった。

ゼロはあの超絶美麗になった(もと巨漢デブの)パパと暮らしてたのかな。


作者にありがとうと言いたい。

イノサンは内容が過激すぎるので、さすがに本で買って子供達の目に触れさせるのは躊躇した。
電子書籍でこっそりよむ。
電子書籍にも本当にありがとうという感じ。

この美麗さを紙に印刷された絵で見たくもあるが…。
残酷シーンはマジですさまじいので、リアルでは見たくない気持ちもある。
デジタルはこの線の細かい超絶美麗な絵を完璧に表現出来るわけじゃなくて、ふんわりとだったので助かった。


とにかく(何度でも言うが)私はマリーが大好き!!
成長した時のマリーのスクショを取って携帯に保存してたぐらい好きだった。

ルージュの7巻のマリー、めちゃ綺麗!!!





自立するために処刑人としての職業を手に入れるところからして、児童虐待ネタを人形が破壊されるシーンで耽美に表現してた。
凄まじい経験をしている。
おばあさまも胸糞だった。
とにかくひどい目にあいまくる。

しかしそこで胸を打つのは、マリーが最初から最後まで徹底的に戦う女だということだ。


(突然の長文)
国際政治学者の三浦瑠麗氏が自伝で昔のレイプ被害を告白した本を出版していて、そこでも示唆していたことだが…。
人ひとりの存在を潰してしまうほどの罪を矮小化させることなく、それでも立ちあがり、立ち直って戦い、まともな生活を送り(送ろうとしている)人々に、必要以上のスティグマが捺されてしまうことへの危惧、被害を受けた者自らが自分にダメな人間、汚れた人間なんだとレッテルを貼ることの危険性への示唆はすごくすごく重要だと思った。

マリーの戦う姿勢は、そういう部分につながった。

傷と今でも闘う人たちへの励まし、叫び。
言いたいことは非常によく伝わった。

忌避されがちな負の感情、怒り・憎しみ・恨みがどれほど大切なことかしれない。

そんな奴に自分の人生を支配されてたまるかと言う怒り。
それは人を奮い立たせる。人生を自分の手に取り戻す。
マリーはその象徴だった。

元々戦う女は大好きで、この原点はスケバン刑事のような気がしてる。
(南野陽子のではなくて、原作・和田慎二のスケバン刑事の麻宮サキ)

このような女性像が男性の中から出てくるというのはとても良い!

ネガティブな感情を大切にしなければならない。
弱肉強食の世にあって、戦うことは必要だ。

f I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
by Raymond Thornton Chandler



マリー・ジョセフ=サンソンを創造してくれて作者さま本当にありがとう!!!
綺麗に終わらせてくれてありがとう!!
最後まで萌え~をくれてありがとう!!

終わりを迎えてイノサンは大切な本になった。
やっぱりラストは重要だ。











※参考
14歳の帰り道、車でさらわれた。あれが「魂の殺人」だと、今の私は思わない

この記事の中で印象に残ったところ:

絶望を重ねたときに、それでも自分を愛せるのか。無理解な他人を愛せるのか。あるいは自分だけの被害体験に閉じこもらずに、より普遍的な善意を持ちうるのか。つまり、それでもなお人を信じられるのか。自分の存在に意味はあるのか。


夫に出会ったとき、伴侶として語り合ううちに彼が私に言ってくれたことがある。帰責性と因果関係を混同したらだめだ。あなたという存在には、他者の支配欲を呼び起こす原因はあるが、だからといって責任はない。(中略)あなた自身を、出来事や外部に定義させてはいけない。あなたのことはあなた自身が定義すべきなのだから。


私は、理解ある夫を得たという点では恵まれていたかもしれません。そして「強くなる」ことができた。でも、それは私が自分の受けとめた物事から目をそらさない生き方を選んだからであって、はじめから強かったわけではありません。私が経てきた道程は、けっして私ひとりのものではなく、多くの女性の道程と重なる部分もあるはずだと思っています。



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Ama Mew(天海悠)
Admin: Ama Mew(天海悠)
へっぽこ自家発電物書き。アニメ漫画書籍全般雑食です。クセ強め。
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